インドのコルカタ、アメリカのニューヨーク、日本の大阪、三都市でレコーディングされた今回のアルバムは本来インドの古典音楽が持つ「即興」というテーマを意識し、実際に曲すら無い状態でレコーディングスタジオに入り、その場にいるミュージシャンやエンジニアと共に創り上げた音の断片を主軸としている。その時に生み出された音のアイディアをそのまま録音する事で、生々しくも臨場感に溢れた音に仕上がり、逆に編集を重ねないことで時が経っても色褪せない音の新鮮さが保たれている。

北インドの弦楽器シタールが使われた音源と言えば年十年も前にリリースされたNorwegian WoodやMatharが未だにイメージされがちだが、この作品の根本的な違いで言えば独特なカラーを持つシタールをあえて特別に扱うことなく、どちらかと言えばシタール奏者が様々なミュージシャンを招いて自然体でセッションしている事である。

今回の参加メンバーはマックス・ローチなど数々のジャズレジェンド達と演奏を共にしてきたブルックリンの重鎮ピアニスト、ラファイエット・ハリスJr、London Posseやジャングルブラザーズ、コートニー・パインなど数々の制作に携わったロンドンのSparkii Ski、コルカタ出身の若手タブラ奏者ショホン・ゴーシュ、そして日本からはA Hundred Birdsのドラマーとしても知られる井戸本勝裕、インドの古楽器パカワジを演奏するカネコテツヤなど多彩なラインナップが参加している。そして、エンジニア陣にもグルーヴ・コレクティブのリーダーでサックス奏者のジェイ・ロドリゲス、フィッシュマンズやボアダムズなどを手掛けた林皇志などが作品に彩を添えている。

 

コメント (五十音順 敬称略)

「今乗りに乗っているタダオちゃんのニューアルバム。世界各地のミュージシャンと即興演奏してまとめあげたものだけに、インドだけでなくいろんな風味が織り交ぜられ一気に別世界に!これはタダオちゃんの絶品ベンガル料理と同じく、待って生まれたセンスの為せる技だと思います。」
チチ松村(GONTITI

シタールは北インド起源の楽器であるが、インド音楽のための楽器という概念を越え、この作品は「シタールは外界のすべての音楽と会話できる可能性が十二分にある」ことを僕らに気づかせてくれた。石濱さんのシタールは言葉を話すかのように詠う_。』
宮沢和史

「絶対に繁盛するからベンガル料理屋をやったほうがいい、シタールよりカレーのほうがポピュラーだから」と石濱さんに今まで提案し続けてきましたが、やっぱりシタールもいいなと思いました。
U-zhaan

 

 

Tadao Ishihama New Album『 Tattva 』

Track List

 

1. BK Funk

2. Little Sunflower

3. Night Walk

4. Cherry Blossom

5. Kirwani

6. Ballade

Musicians
Tadao Ishihama/Sitar (Osaka,Kolkata) Track 1,2,3,4,5,6
Lafayette Harris Jr/Piano (New York) Track 1,2,4,6
Sparkii Ski/Track Making (London,Osaka) Track 1
Katsuhiro Idomoto/Drums (Osaka) Track 1,3
Sohon Ghosh/Tabla (Kolkata) Track 5
Tetsuya Kaneko/Pakhawaj (Varanasi,Nagoya) Track 3

Recording Engineer
Ohji Hayashi (Osaka) track, 1,3
Jay Rodriguez (New York) Track 1,2,4,6
Udit Saptarshi (Kolkata) Track 5

Mixing & Mastering Engineer
Ohji Hayashi

Produce
Tadao Ishihama
Art Direction
Shingo Ajikata
Illustrations
Tadao Ishihama
Co Produce
Rica Nakajima
Artist Photo
Hollis King

 

石濱匡雄/シタール
15歳で北インドの弦楽器シタールに出会い、97年より度重なるインド滞在を経てインド東部コルカタに移住、シタールの巨匠モノジ・シャンカール氏に弟子入りする。滞在中は現地で様々なコンサート・TV出演などを行い、03年より活動の基盤を日本に移す。その後インド総領事館主催のイベント出演や、様々なアーティストのCD作品への参加、ラジオやTV出演など、日本国内外で精力的な活動を展開する。10年にはインドのレーベルより初のソロアルバムを制作。近年は韓国国立劇場で行われた建国60周年記念公演での演奏や、ブロードウェイの人気ミュージカルSTOMPのキース・ミドルトンとの共演 、ダリル・ジョーンズやロバート・アーヴィング3世率いるマイルス・エレクトリックバンドの来日公演にシタール奏者として参加するなど、古典音楽のみならずシタールの新たな可能性を打ち出している。昨年には初のニューヨーク公演を成功に収め、初のラジオ番組「シタール奏者・石濱匡雄のカレーだけじゃないインド」もMBS毎日放送より不定期放送中。また、インド在住経験を生かし現地の家庭料理のレシピを紹介した初の著書「ベンガル料理はおいしい(著者:石濱匡雄 監修:U-zhaan)」も6月にリリースし、料理家としての側面も持ち合わせている。

 

ラファイエット・ハリス・Jr/ピアノ
NYブルックリン区在住のピアニスト, 作曲家, プロドゥーサー, アレンジャーであるラファイエットは音楽の名門オベリン大学, ルトガース大学院に在籍しながら巨匠ケニー・バロンやバリー・ハリス, サミー・プライスらに師事。首席で卒業後,公私共に仲が良かったレジェンド・ドラマー, マックス・ローチが亡くなるまで10年以上に渡りマックスのバンドでレギュラー演奏をしていた。ここ数年は自身のバンド活動やレコーディングの他にも,巨匠ヒューストン・パーソン(Sax) カルテットのレギュラーメンバーとして世界各地での演奏とレコーディングなど行う。4度に渡るグラミー・ノミネート・シンガー、アーネスティン・アンダーソンの専属ピアニストとして知られているだけでなく,巨匠ライオネル・ハンプトンのビッグバンドの一員にも抜擢されディジー・ガレスピー(Tr)との共演,マーク・ウィットフィールド(Gt)とハービー・ハンコック(P), ラヴィ・ コルトレーン (Sax) , シンディ・ブラックマン(Dr), ドューク・エリントン・レガシー・オーケストラ,ロイ・ハーグローブ(Tr), ウィントン・マルサリス(Tr), パーシー・ヒース(Bs), ジミー・ ヒース(Sax), クリスチャン・マクブライド(Bs), ルイス・ナッシュ(Dr), ジミー・コブ(Dr), らと共演。活躍はジャズ界のみに留まらずブロードウェイ・ミュージカルでトニー受賞作品”ブリング・イ ン・ザ・ノイズ,ブリング・イン・ザ・ファンク”の立ち上げからピアノ,副指揮まで担当。同ショーでトニー賞を受賞したタップ界の王様サビオン・グローバーを育て今でも時折彼のショー を創作・監督・演奏している。またブロードウェイ・ミュージカル ”カラー・パープル”では, チャカ・カーン,ファンタジア,ビービー・ワイナンズ,トニー賞受賞女優LaChanzeらと共演 し,チャカ・カーンとは後にアフリカ基金支援イベントで彼女のピアノ奏者としてステージを共にした。日本では日立やヤクルトのTV・コマーシャルへ数年に渡りオリジナル・ソングを提供,演奏, 出演した事でも知られるなど、長年に渡り幅広くジャズ界のみならずあらゆるジャンルの第一線で活躍中である。

Sparkii Ski /トラック
ヒップホップ、ジャズ、ソウルミュージックのトラックメイカー、プロデューサー。英国ロンドン生まれ。1987年EP「”Free Style” Jus Badd ft. DJ Pogo MC Mello & Monie Love」でデビュー。代表作には Island RecordsよりリリースされたLondon Posse「Money Madd」「Gangster Chronicles」、コートニー・パイン「Underground」「Modern day Jazz Stories」など。その他 キャロル・トンプソン、ジャネット・ケイ、オレタ・アダムス、45king, ジャングルブラザーズ, Gang Starr , NWA , ATCQ , Soul2Soulなど多くの製作に関わる。近年ではベルギー在住のDJグラスホッパーと「These handz」を始動。

井戸本勝裕/ドラム
10才の頃 YMOや当時姉の聴いていたジャズなどに興味を持ちドラムの真似ごとをするようになりその後間もな本格的にドラムを始め佐々木晴夫氏他に師事、高校在学中の頃 からミュージシャンとして活動し始め 現在までポップス・ロック・ジャズ・ワールドミュージック・クラブミュージック等ジャンルを問わず様々なバンドやセッション等に参加。 音好きがこうじて95年頃からDJも始める。 97年ハウスDJのYOKU氏率いるA HUNDRED BIRDSに参加、同楽団の基礎を築くのに貢献しリズムの要として活躍、 プロデュースなども手掛け現在に至る。 他にはカルカヤマコトやflex life、Sugami with lagoonなどのアルバムにも参加、最近ではアフリカの親指ピアノ奏者の第一人者サカキマンゴー&LTSSでも活動しアフリカンミュージックにも傾倒 A HUNDRED BIRDS 2006年・2013年 フジロックフェス ライジングサンロックフェス 2007年 朝霧ジャム 他。。など出演 2009年 FM802の開局20周年企画で矢井田瞳と共演 サカキマンゴー&LTSS 2008年 韓国JARASM INTERNATIONAL JAZZ FESTIVAL 他。。出演 2012年 南~東アフリカライブツアー

カネコテツヤ/パカーワジ
2000年よりパカーワジの巨匠シュリカント・ミシュラに師事。
17年よりサンカトモーチャン寺院ハヌマン派座主ヴィシュワンバル・ナート・ミシュラより指導を受ける
。毎年シヴァラトリーの時期に開催されるドゥルパド最大級のイベント、オールインディア・ドゥルパドメーラー(バラナシ)に02年より17年間連続で出演している。
グジャラート、ダーホード、リシケーシュ、グワリオールなどインド各地の音楽大学、寺院など音楽祭にも出演。ドゥルパド界の巨匠達とも数多く共演している。
04年度第29回ドゥルパドメーラーにてゴールドメダルを受賞。

ショホン・ゴーシュ/タブラ
インドを代表する若手タブラ奏者の一人ショホン・ゴーシュは、音楽一家に生まれ3歳から父ニルマル・ゴーシュから演奏の手解きを受ける。その後、父の師であったpt.ゴビンド・ボースに弟子入りし、北インド古典音楽の徹底的な教育を施された。現在ショホン・ゴーシュは数々の国内外の有名音楽祭や、TV番組などに多数出演し、タブラ奏者としてのキャリアを積むと共に、多方面から若手インド古典音楽家の有望株として注目されている。